*有機化学*
研究内容
先端研究は専門機関に任せ、私は化学を身近に感じるための研究を行っています。これまで専門機関でしか行えなかった様々な有機反応をより入手性の高い器具・設備・原料を使用して再現する方法や、有機化学への興味を持ってもらうための演示実験の開発・原理追求などを通して、有機化学をより身近なものに感じてもらうためのきっかけ作りが使命だと思っています。
研究設備
化学実験室の研究設備を使用しています。
▶︎化学実験室設備
研究成果
・サルファ剤合成
人気漫画「Dr.STONE」の作中で登場するサルファ剤合成の描写を実際に再現実験を行って検証を行いました。
作中ではコールタールより分離したアニリンを出発原料として用いますが、私はより単純なベンゼンを出発原料として完全合成を行いました。
途中、必要になる無水酢酸や塩化スルホン酸の合成方法も検討し、6段階反応により総合収率27.6%を達成しました。
また、自作の簡易的なケテンランプを用いた無水酢酸の合成では世界最高レベルである62%以上の高収率での安定的な合成法を確立しました。
・ルミノール合成
演示実験でよく用いられるルミノールを純市販品原料で合成する方法を検討しました。
サイリュームに含まれるエステルを加水分解することでフタル酸を得て、その後必要な薬品は全て市販品を原料に合成しました。分析機器などは一切使用せずに十分な発光量を得られる高品質なルミノールの完全合成に成功しました。
・ゲーミング反応の安定化
演示実験でよく知られる信号反応を改良し、レインボーカラーに変色する新しい反応が海外のアマチュア化学者により発表されました。
しかし、60度以上に加熱が必要なことや、色素の安定性に問題があり、なかなか演示実験としては浸透せずにいました。そこで、カルカリ剤の種類や反応の発生するpH領域を絞り込む基礎研究を行い、その知見を基に低温かつ、安定的な反応の実施メソッドを確立しました。
